News Letter -2023年11月(西田)-

日本の大企業の連合体である経団連(日本経済団体連合会)は9月11日、2024年度税制改正に向けた提言を発表しました。その中で、岸田政権が進める“異次元の少子化対策”など社会保障政策の財源としては消費税が有力な選択肢の一つだと公表しています。…全く冗談じゃないですよね。だいたい消費税を社会保険の財源にするだけでもおかしいのに、令和になって10%に上げてから、まだ4、5年で、もう次の増税の話なんて。

経団連はかねてから一貫して、消費増税を政府に要求し続けてきました。十倉雅和会長は、インタビューで常に消費増税の必要性を主張してきましたし、2012年には「財政再建の提言書」をとりまとめ、この中で、『消費税率を2025年までに19%にまで引き上げることが必要だ』なんてオニのようなことを言っていたことを記憶されている方もいらっしゃるでしょう。これまで消費税率が引き上げられ続けてきたのも、こういう経団連の提言が重要な推進力の一つとなっていたことは間違いありません。しかし、なぜ経団連はそんな消費税の増税ばかり提言するのでしょうか。

理由は至ってシンプル。『自分たちはな~んにも負担したくない』から。岸田政権が異次元の少子化対策を進めるためには、その“恒常的な財源”が必要であり、その為に何かしらの増税を模索しています。そういう動きを察知した経団連は、自分たちの負担増につながる社会保険料や法人税が上げられることのないよう、なんとか別の方法で国が資金繰りできる方法を考えました。それが“消費増税案”というわけです。

根本的に、本当に少子化対策を進めたいなら、まずは経済再生と国民の賃金増加を模索すべきですが、なぜか世界一高い自分たちの給料には手を付けず、いつも国民の負担増から始めるんですよね。そんなことをすれば、当然経済再生は遠のきますし、負担の増えた国民はますます自分だけのことを考えるようになりますから、結果的に少子化はさらに加速すると思いますが…少子化の要因として経済的不安が指摘されていることはご存知ないんですかね?

話を戻しましょう。実は消費税には“輸出還付金”という仕組みがあります。消費税は、国内のマーケットで販売した時には支払った人たちに払って貰うことができる税金であり、国外での販売を中心とする輸出企業は、その輸出品を買った(外国)人から、消費税を支払って貰うことができません。ところが、輸出企業がその輸出品を作るために買った原材料を日本国内のマーケットで購入した場合、原材料購入の時に消費税を支払っている、ということになります。そうすると、原材料を国内で購入する時には消費税を払っているのに、顧客である海外の人からは消費税を払ってもらえない、ということになります。これでは不平等だということで、「輸出企業が、輸出品を手に入れるために、日本国内で支払った消費税」を全て「政府が支払ってあげる」(還付する)という仕組みを、政府が作っているのです。これが“輸出還付金”という制度です。

経団連に入るような企業は、だいたい大企業で、その販売網は国内のみではないですから、多くの還付金を政府から支払って貰っていることになります。そして、その還付金の金額は消費税率が上がれば上がる程、増えていくことになります。このように、経団連は自分たちの納税額をできるだけ減らし、かつ、より多くの還付金という名の補助金を受け取るために、一貫して消費増税を主張し続けているのです。 彼らは『国の財政再建は待ったなし』という建前上もっともらしいメッセージを発信し続けていますが、単に自己の利益追求のために消費増税を主張しているに過ぎません。ちなみに彼らの使命は、“総合経済団体として、企業と企業を支える個人や地域の活力を引き出し、日本経済の自律的な発展と国民生活の向上に寄与すること”(HPより抜粋)だそうです。この経済状況で消費増税の提案でございますか?全く大した貢献度ですね(笑)

西田
西田

企業が利益を追求することは重いことではありませんが、こんなことをしていたら、ますます国内格差は広がっていくでしょう。

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