今回は、ハードの面から騒音問題をお話しします。
まず、壁の話。隣の住戸との壁を戸境壁(こざかいかべ)といいます。
壁を叩いてみてコンクリートの鈍い低い音がすれば、コンクリートの戸境壁にクロスを直接貼っています。
これが一番遮音性の高い工法と言われています。
ただ、コンクリートの厚さまでは分かりません。
では、どうすればいいか。
壁を直接叩いてもある程度は分かりますが、正確には、図面(雑詳細図)で確認します。
昔は、150ミリが普通でしたが、今では180から200ミリが理想とされています。
これに対して二重壁工法と言って間柱を立て、石膏ボードを下地にして壁を造る方法があります。
ただ、この方法だとコンクリートと石膏ボードのすき間で音が反響し遮音性が落ちます。
戸境壁には適しません。
似て非なるもので、GL工法という壁があります。
この工法は最悪で音が筒抜けになります。
ただ、外壁と接する壁は、音漏れの心配はないので、GL工法を使うのは問題ありません。
タワーマンションの戸境壁はコンクリートではできていません。
乾式壁といって、いくつかの工法はありますが、基本的の素材は石膏ボードです。
吸音材として一般的に使用されるのは、グラスウールが多い。
では、遮音性は問題ないのでしょうか。
一般的には厚さ200ミリのコンクリートの壁と同等の遮音性があるといわれています。
しかし、私の住んでいるタワ―マンションでは、掃除機を壁にぶつける音とかがたまに聞こえます。
でも、コンクリートの壁でも壁に何かをぶつければ音はします。
つまり、乾式壁だから遮音性が悪いというのではなく、音の性質によって防げない音はあるという事です。
また、自重と耐震性の問題からタワーマンションの戸境壁は、乾式壁が採用されています。
戸境壁に対して部屋の中の壁を仕切り壁と言います。
図面をよく見るとPS(パイプスペース)という表示があります。
この場所には、自分の配管だけでなく、上下階の排水竪管が通っています。
上の人の排水の音が聞こえることがあります。
もし、PSに寝室が隣接していれば、流水の音で寝られないという事になりかねません。
そこで、PSを囲む壁にどのような遮音対策がされているかを確認します。
遮音シートや石膏ボードの二重貼りなど、設計図書の仕様書などで確認します。
また、エレベーターに接する部屋の壁の仕様なども確認します。
では、次回は、床(スラブ)のお話を中心にしたいと思います。