賃貸の契約で退去する時に現状回復という借主の責任があります。昔からよく揉めます。裁判にもなります。そのため契約の時に現状回復の説明を判例を踏まえて詳しく説明します。
東京の物件に関しては、東京ルールともいいます。簡単に言ってしまうと、通常の使い方をしていて、自然に汚れたり、壊れたりしたものは、現状回復しなくてもよい、それは、家賃に含まれる、ということです。自然損耗、通常損耗と言います。わかりやすいたとえとして、レンタカーがあります。レンタカーを借りて返す時に、タイヤが減ったからその分のお金を請求されることはありません。それは、レンタル料金に含まれます。
では、通常の使用ではない事によってお部屋が破損した場合は、どうなるのでしょうか。その時には現状回復工事が発生します。現状回復工事は通常、貸主が行います。実務的には、管理している不動産会社が行います。次に貸すためには、現状回復工事が必要になります。
ところが、次に貸さないで、オーナー自身が住むケースがあります。定期借家契約の契約の場合よくあります。この場合、オーナーが現状回復工事を行わない事がよくあります。または、一部だけしか行わない事があります。
借主の立場からすれば、工事をしないのであれば、工事代金はかからないのだからお金は返してほしい、と考えます。
一見、道理は通っています。ただ、貸主の立場からすれば、破損したのだから、弁償しろ、金は払え、となります。
車の事故に例えます。車をぶつけられた。修理代金に20万円かかる。請求したら保険会社からお金をもらった。ただ、修理しなくても乗れるので、修理しなかった。
この場合保険会社は、20万円を返せというのでしょうか。答えは、ノーです。
直すか否かは問題でなく、破損とか事故とかの事実が重要で、被害が発生したことは間違いなく借主、車をぶつけた人の責任であり、その責任を負わなければならないという事です。
道を歩いていたら走っていた車から泥水を掛けられて服が汚れて着られなくなり、弁償代として10万円もらった。
あなたならどうします。また、同じ服を買いますか。それともそのお金で何かおいしいごはんでも食べますか。
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