【三浦社長のふどうさんコラム】第55回 家が建たない? 風致地区

風致地区、お聞きになったことはありますか。

風致とは、樹林地、水辺地などで構成された良好な自然的景観のおもむきやあじわいの事をいいます?よくわかりませんね。

具体的にいうと、多摩川の川辺の景色や国分寺崖線の森、等々力渓谷付近の景観などです。でも、そんなもん田舎に行けば全部そうですよね。

つまり都市計画地域内(国土全体の40%)に存在する都市部付近に現存する自然です。希少な都市部に残された景観なので、守っていこうして、風致地区として指定して規制したわけです。

都市計画法で制定されています。日本で初めて風致地区に指定されたのは、大正15年に指定された明治神宮外苑周辺だそうです。風致地区の指定を受けると建築や緑地計画など様々な制約を受けます。全国で800ヶ所、東京都で28ヶ所ある。

世田谷区内の風致地区はほとんどが二子玉川周辺にあります。二子玉川は、駅周辺を除いて、ほとんどの地域が風致地区に指定されている。

では、どういう制限があるのか。

まず、建ぺい率が40%に制限される。岡本の一部には20%に制限される地域もある。100坪の土地があっても20坪しか建てられない。

次に高さが15mまでに制限される。5階建を超える建物は建てられない事になる。

そして、極め付けが、外壁後退制限。道路から2m、隣地から1.5m外壁を後退しなければならない。狭い土地だとこの制限を守ると家が建たない。

そこで、緩和措置がある。風致地区は、5つに分類される。A地域、B地域、C地域、D地域、S地域の5つだ。

それぞれ緩和基準が異なる。100㎡以下の狭小地だと外壁後退の制限が緩和される。

この他に敷地内の緑地計画もある。樹木の種類、本数、高さ、など細々とした制限がある。注意しなければならないのは、敷地内の樹木を伐根する際にも許可申請が必要な事だ。

また、色彩、意匠についても制限があり、風致地区との調和を求められる。

守っていないところもけっこうあるが、都心から二子玉川に来ると、ゴミゴミしていないのは、風致地区の恩恵である。

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