先日、最高裁判所で相続税をめぐるマンションの評価額に関する判決がありました。
納税者が国の更生処分に対し不服の申立をしたのですが、結論は、納税者の全面敗訴でした。
最高裁の結論は、ほぼ時価での評価額で納税しろというものでした。これによって相続税をゼロとして申告したものが、約3億円を追徴課税されました。
相続税の対策として不動産が効果的であるという事は一般的には言われています。
特にタワーマンションはその効果が高いという事で富裕層を中心に購入される方が多い。
そういう方にとって今回の判決は、衝撃的な内容でした。
額面通りに解釈すると、不動産は、相続税対策にならない、という事になります。
また、タワーマンションを使った相続税対策を推奨していた税理士や金融機関にも警鐘を鳴らしました。
勧められた方は、悪い言い方すれば、話が違う、騙されたと思うでしょう。
では、本当に不動産は、相続税対策には、適さないのでしょうか。
そもそも、相続税の計算をする場合、不動産の価格は、時価で評価する、というのが原則です。
では、時価とは何か?ここが曖昧なので、通達で、土地は、路線価格、建物は、固定資産税の評価額を準用してよい、という事になっています。
今回の相続人もその通りに評価して申告しました。
それが、全面否定された。なぜでしょう?
結論から申し上げると、やりすぎた、調子にのりすぎた、という事です。
評価通達にある規定で、価格があまりに不適当である場合には国税庁長官の指示で是正勧告できる、という一文があります。
今回はそれに該当したわけです。
恣意的に相続税を減額する目的で不必要に過分な借り入れをすることによって相続税をゼロにしたことは、社会通念的に著しく公平性を欠く、という事です。
もし、これが、借入をしないで現金で購入していれば違う結論になっていたでしょう。
ただ、国税庁が今後、どういう基準で天下の宝刀を抜くか、という明確な基準は示されませんでした。
もっとも手の内を示せば、それを逆手に取られます。国もしたたかです。