姉(小林)

今回は私の家族について書かせていただきます。

 

姉の話

私には、3つ年上の姉がいます。

いい年なのに姉弟で同居しているので、人からは「仲がいいんだね」などと言われますが、お互い仕事をしているため顔を合わせる時間もそう多くなく、ほとんど干渉せずに生活している感じなのです。

そんな我々姉弟ですが、帰宅時間が重なれば、一緒に食事をしながら職場の話などもします。

しかし、姉が私に話すのは9割方が職場の愚痴で、聞いているだけで気力が削がれるような話ばかりです。

1時間でも2時間でもしゃべり続ける姉を前に、私は滝に打たれる修行僧の心境で耐え忍ぶのです。

さらに私が日々スマホに撮り溜めている、会社の看板犬ミッキーの写真で場を和ませつつ、姉が寝るまではひとしきり愚痴を吐き出させる仕事は、並みの神経では務まらないと自負しております。

普通の人なら逆に怒り出すか、子供なら泣き出すことでしょう。えらいぞ私。

 

姉の友達の話

ある日の仕事終わり、「今日の晩御飯は何がいいかな」と
電話で姉にお伺いを立てたところ、姉からは「今日は友達が遊びに来るから」と予想外の返答が返ってきました。

そこで私は「急いで寿司を買って帰るから」と簡潔に述べ、東急スーパーへと急ぎました。

私の出身の長野県は四方を山で囲まれ、運搬の手間から昔は海産物が希少だったのです。

その名残もあってか、お客様へのおもてなしの最上級は海産物(寿司・刺身など)と相場が決まっているのです。

東急スーパーで人数分の寿司を買い揃えた私が自宅に戻ると、すでに姉が作った料理(焼きそばとスープ)が人数分用意されていました。

なぜかと問うと、その友達は現在一人暮らしで、人の手料理を久しく食べていないというので、料理を作ってあげたそうです。

なるほど。
それならそうと先に言っておいてもらえないでしょうか。

仕方がないので、姉が友達を駅まで迎えに行っている間に風呂の掃除を済ませ、お湯をはり、仕事で疲れているであろう姉の友達を温かく迎えることにしました。

なんだか民宿の親父さんのような気分でした。
姉が作った焼きそばには、姉が苦手なニンジンが短冊切りで入っていて、友の健康のために、己の好き嫌いを乗り越えようとしている姉の小さな成長を感じました。

いい年なんだからニンジンくらい文句言わずに食べたらいいのに。

 

 

 

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