テラスマーケット、皆さまはもうご覧になりましたか? 想像以上の広さと店舗数に、私たちも驚きを隠せませんでした。完成前の分厚い幕を見ていた身からすると、まさかあの向こう側にこれほどのものが作り上げられていたとは……とただただ感心するばかりです。
中でも素晴らしかったのは、蔦屋家電です。
一歩足を踏み入れれば、まさしくそこは別世界。間接照明が昼夜問わず心落ち着く薄暗さを保ち、天井高までしつらえられた本棚には見慣れぬ写真集や画集が並び、各所に家具・家電がほどよい間隔を空けて陳列されています。デザインのすぐれた外国製生活家電から、Apple Watchや最新のウルトラブック、はたまたこだわりのオーディオ機材など、揃えられた家電は多種多様。それも、すべてを揃えるというよりも、独自の審美眼に基づいてセレクトされた、選り抜きの逸品が並べられています。
スペースを贅沢に使った店内には、どこかゆとりのある時間が流れ、いつまでも滞在したくなるような居心地のよさをかもし出しています。こうした来店客のニーズに応えるよう、店内のあちらこちらには自由に座れる椅子が並べられ、スターバックスのコーヒーを片手に、ゆっくりと過ごせる工夫が凝らされています。開店時間も朝7時から夜11時までと長く、休日ならここで1日を過ごせてしまいそう。
……TSUTAYAが家電量販店を始める、と聞いたときには、「TSUTAYA迷走してない?大丈夫?」と不安になったものですが、いやはや脱帽です。
蔦屋家電のコンセプトは、「ライフスタイル提案型の家電量販店」とのこと。まさにあそこは、単に「家電を買う」というだけにとどまらず、「ライフスタイルを体感し、気に入れば買うこともできる」という場所でした。
昨今は、小売業界も苦戦を強いられていると聞きます。Amazonや楽天市場などのネット通販に顧客を奪われ、「家電量販店で実物を見て、ネットで買う」という流れができてしまっているのだとか。蔦屋家電のアプローチが、実店舗の突破口を示すモデルケースになるかどうか、気になるところです。