【三浦社長のふどうさんコラム】第67回 20年前の欠陥、あなたのマンション大丈夫?

先日の新聞報道で、東急沿線で1998年に分譲されたマンションにおいて、施工上の重大な問題が指摘されていることを知り、大変驚きました。

報道によると、事の発端は1階住戸の居住者からの「床や壁にカビが発生して困っている」という相談だったそうです。管理会社が調査を行ったものの「問題はない」との回答。しかし、その後、別の専門会社による調査で、地下ピット内の滞水、排水設備の不備、梁のコア抜きによる鉄筋への影響、設計図と異なる施工状況など、さまざまな問題が指摘されたとされています。

さらに、建物の配置についても設計との相違があるとの指摘がなされており、現在、一部の区分所有者と分譲会社との間で裁判が続いていると報じられています。

このマンションは建設当時、「優良建築物等整備事業」の対象として、国・東京都・世田谷区から補助金の交付を受けていたとのことです。そのため、多くの方が「大手企業が分譲したマンションだから安心だ」と考えていたかもしれません。

しかし、この報道を見て私が改めて感じたのは、「建物の品質を誰が保証するのか」という問題です。

マンションは完成後、施工会社による自主検査、事業主による確認、そして指定確認検査機関による完了検査を受けます。私自身、独立前にマンションデベロッパーに勤務していた際には、社内検査に立ち会った経験がありますが、共用部分を含め非常に細かなチェックを行っていました。

現在は行政だけでなく、国から指定を受けた民間の検査機関も完了検査を担当しています。本来であれば、こうした検査は重大な施工不良を未然に防ぐために存在するはずです。

それにもかかわらず、もし報道内容が事実であるならば、検査制度そのものの実効性についても考えざるを得ません。

また、建物の不具合そのものだけでなく、その後の対応を巡っても当事者間で認識の相違が生じているようです。「建て替えを約束した」「そのような約束はしていない」といった主張の対立は、不動産トラブルでは決して珍しくありません。

こうした報道に接すると、「自分の住んでいるマンションは本当に大丈夫なのだろうか」と不安になる方も少なくないでしょう。

法律上、不法行為に基づく損害賠償請求権には原則として期間制限があります。しかし近年の最高裁判所の判例では、加害者側に信義則違反や権利濫用と評価される事情がある場合、単純に期間の経過だけで権利行使を否定できないと判断された事例もあります。

もっとも、今回の事案にその考え方が適用されるかどうかは、現時点では分かりません。最終的には裁判所の判断を待つほかありません。

ただ一つ言えることは、マンションを購入する一般の消費者は、専門家ではないということです。だからこそ、分譲会社、施工会社、設計者、管理会社、そして私たち不動産業者を含めた専門家には、購入者の信頼に応える責任があります。

住宅は人生で最も高額な買い物の一つです。 今回の報道は、「大手だから安心」「検査を受けているから大丈夫」と思い込まず、建物の維持管理や情報開示の重要性を改めて考えさせられる出来事だったように思います。

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