マンションに住んでいて、上の階から水漏れがして被害にあった場合、誰にその賠償を請求できるのだろうか。
もし、上の階の住人の不注意によって損害が発生した場合、当然、その賠償責任は上の階の住人にある。例えば、洗濯機から水漏れし、その水が階下に漏れた場合などである。
では、水漏れの原因が共用部分の配管だったとしたらどうなるのか。雨漏りの場合はどうだろうか。
このような共用部分からの損害については、賠償責任は区分所有者全員にある、というのが以前の判断だった。共用部分は区分所有者全員の共有であるため、そのような判断が理論的には成り立つ。
しかし、実務上、区分所有者全員を相手取って損害賠償請求の訴訟を起こすことは可能なのだろうか。
例えば、二子玉川で最も戸数が多い「二子玉川ライズ タワー&レジデンス」のイースト棟では395戸ある。これは、現実的にはかなり無理がある。そうなると、被害者は実質的に被害の救済を受けられないことになってしまう。
そこで、管理組合を相手取って裁判を起こした事例があり、最高裁で判決が下された。
結論は、共用部分に欠陥があり損害が発生した場合、その賠償責任は管理組合にあるという判決だった。
裁判の争点は、管理組合が共用部分の「占有者」に該当するか否かであった。民法では、建物の欠陥による損害は、その占有者が賠償責任を負うと規定されている。高裁までは、管理組合は占有者に該当しないという判断であった。
しかし、この最高裁の判断により、今後は共用部分の欠陥による損害について、管理組合が責任を負うことになった。
ただし、古いマンションでは共用部分に欠陥が多いケースも少なくない。現在、築30年を超えるマンションは、全マンションのストック戸数の4割以上を占めており、今後さらに増えていくと考えられる。
管理組合に十分な修繕積立金があればよいが、そうとも限らない。そこで、保険に加入していれば補填できるのではないか、という考えもある。実際、多くのマンションでは共用部分の損害を補償する保険に加入している。
しかし、マンションが老朽化し問題が多くなると、保険料が高額になったり、場合によっては保険会社から加入を断られることもある。
話は少し変わるが、マンションの一室を貸していて、専有部分の設備の老朽化によって水漏れし、下の階に損害を与えた場合、その責任は所有者にある。
よくある例として、給湯器の銅管が経年劣化により穴が空き、水漏れするケースが挙げられる。厄介なのは、見えない部分で発生するため、水漏れが発覚した時には被害が甚大になっていることが多い点である。
実際に、5階建てマンションの最上階から発生した水漏れが1階まで及び、損害額が数千万円になった例もある。このケースでは、オーナーは火災保険に加入していたが、保険の対象外であった。 以前にも紹介したが、人に貸す場合は、火災保険の特約として「施設賠償責任保険」を付けておけば、保険で補填される。
したがって、部屋を貸す場合には、この特約が付いているかどうかを必ず確認しておくことが重要である。

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