2010年に行われた全宅連の創立50周年記念講演で、政治評論家の櫻井よしこさんが講演をしたことがある。
櫻井さんは、その中で国家安全保障上の観点から「中国人には不動産を売らないでほしい」という発言をされた。会場は拍手喝采だった。来賓として当時の国土交通大臣の石井啓一氏、自民党副総裁の高村正彦氏も出席していた。当時は外国人の不動産取得は今ほど注目されていなかった。
最近は、様々な理由から外国人の不動産取得を規制すべきだという意見が多い。
世界の中で、外国人の不動産取得に最も厳しい国はアフガニスタンである。憲法上、外国人の不動産取得は認められていない。ヨーロッパでは、スイス、デンマーク、オーストリアなどが規制を厳しくしている。一方、イギリス、フランス、ドイツなどは比較的緩い。アジアでは、外国人の不動産購入に厳しい国が多い。自由に取引できるのは、日本とマレーシアくらいである。インド、中国、シンガポール、インドネシア、ベトナムでは外国人の土地取得は認められていない。アメリカは規制がほとんどない。
では、なぜ外国人による不動産取得を規制しているのか。理由としては、国家主権の保護、国土の防衛・安全保障、住宅価格の安定、農地・自然資源の保護、投機防止、国民感情への配慮などが挙げられる。
日本では蛇口をひねれば水が出るのが当たり前と考えられている。しかし、世界で水道水がそのまま飲める国の割合は25%に過ぎない。それも、世界の人口が増え続ければ、水資源の奪い合いが起きる可能性がある。水資源を確保するために外国人が北海道の山を取得している例もある。
このような観点から規制すべきだという声も最近は多いが、規制には大きな壁がある。
一つは国際条約であるGATT(関税と貿易に関する一般協定)である。日本も条約を批准している。つまり、GATTを締結している国の間では、外国人の不動産購入に規制をかけるのは難しい。ただし、不動産の取得を除外するとしていれば規制は可能である。日本は規制していないが、中国はGATT上、不動産を除外している。
もう一つは憲法で保障されている財産権である。外国人に不動産を売却できないと規制することは、財産権の侵害にあたるということだ。
ただし、日本でも2022年9月に不動産利用を規制する法律(重要土地等調査法)が施行された。国家安全保障上問題がある土地の利用は規制されることになった。所有と利用を分離したわけである。 売買は自由にさせつつ、法律で利用に制限をかけるのが現実的な対処方法である、と私は考える。
投機による不動産高騰を防止するのであれば、短期の投機的売買には高率の税を課す、3年間の転売禁止、外国人の取得に新たな税を課すなどの方法が考えられる。

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