【三浦社長のふどうさんコラム】第60回 定期借家契約と貸主の権利

先日、板橋にあるマンションのオーナー(中国人)からいきなり家賃を2.5倍に値上げするという通知が借家人にされ、借家人の4割が退去するというニュースが報道された。

エレベーターも一方的に使用できなくされた。国会でも取り上げられた。

オーナーの言い分は、香港では当たり前なので、日本でも通用すると思ったという事だ。

また、海外から帰国されるお客様を弊社管理物件(ライズタワー)にご案内した時に、海外で、やはり家賃の値上げを突然30%要求され、嫌なら退去しろと言われたが、従ったとそうだ。

つまり、海外の多くの国では、家主の権利が強く、借主の立場は弱いという事だ。

日本では、借地借家法という法律があり、借主の権利はかなり強く保護されている。

しかし、借地借家法の前身である借地法、借家法は、1921年(大正10年)に制定された法律であり、当時の持家率は10%程度だったが、今や持家率は60%を超えており、60代以上では80%を超えている。

1991年(平成3年)に借地借家法に統合され、その後1999年(平成11年)に定期借地法、定期借家法が制定され現在に至っている。つまり100年以上も前にできた法律がいまだに運用されているという事だ。

もともと、借地借家法は、借主の立場が経済的に弱いために借主の権利を保護するためにできた法律だ。

しかし、今や借主が貸主よりも常に弱い立場にあるとは限らない。借主の立場の方がはるかに強い場合も多い。

そこで、借主の権利を制限するために定期借地借家法が制定された。定期借家契約で契約すれば、契約期限の到来で借主は必ず借家を明け渡さなければならない。

また、借主は、原則、途中解約ができない。ただ、転勤や療養などやむを得ない事情が発生した場合は、途中解約できる(事業用は途中解約できない)。

ただ、契約当初から転勤が決まっていた場合は、認められない。

家を購入する事もやむを得ない事情にはならない。借主にもやむを得ない事情を立証する責任がある。

借主の中には、この条項を利用して途中解約を主張する借主もいるためである。ただ、特約で途中解約の権利を無条件で認めれば解約できる。

貸主のリスクは、契約の残り期限が1年とか短い期間で途中解約されると次の借手がよほど家賃を下げないと決まらないというリスクだ。

定期借家契約で注意を要するのは、定期借家契約の説明書を添付して契約の前に説明しなければ、契約書が定期借家契約となっていても、その契約は、定期借契約とは認められないという事だ。

また、期限の到来の6ケ月から1年以上前に文書で通知しなければ、契約通り契約を終了できない事だ。

コメント

タイトルとURLをコピーしました