海外転勤の間だけ貸して帰国したら自分で住もうと思って、定期賃貸借契約で契約した。ところが、借主が退去しない、と主張している。契約書を確認すると、確かに定期賃貸借契約と明記されている。これってどういう事?
よく確認すると、契約書とは別に定期賃貸借契約である旨の説明書がない。
定期賃貸借契約の場合、契約書とは別に、事前にその契約が定期賃貸借契約である説明とその書面の交付が義務づけられている。この説明書がないと、いくら契約書に定期賃貸借契約と明記されていても、定期賃貸借契約として成立しない。
また、予定通り契約を終了する場合も、最低6か月前に文章でその旨を通知しないと、期限通りに明け渡してもらえない。
定期賃貸借契約は文字通り期限(定期)が到来したら必ず明け渡さなければ契約です。
基本、更新はありません。良質な住宅の供給を即すために平成12年3月に成立致しました。
定期賃貸借契約は貸主、借主にそれぞれメリット、デメリットがあり、取り扱いに注意を要します。
特に中途解約について紛争が多い。
200㎡以下の居住用の定期賃貸借契約は、基本中途解約できません。
中途解約が認められるのは、やむを得ない事情が発生した場合に限ります。転勤、療養、介護などがこれに該当します。
これらの理由によって自己の居住の本拠としての使用が無理な場合に限り中途解約が認められます。
解約は1ケ月前に通告すれば可能です。違約金等のペナルティーはありません。
ただ、本当に転勤なのか、通えない距離なのか、療養が必要なのかを証明するエビデンスの提出を求められることがあります。
よくあるのが、家を購入したので中途解約したい、という申し出です。
結論から申し上げると、認められません。家を購入するのはやむを得ない事情とはなりません。
契約が個人でなく法人で借りていた場合はどうなるのか。基本、中途解約できません。法人には、転勤も、療養も、介護もありませんから。
特約に中途解約の権限が明記されている場合は、中途解約できます。ただ、この特約は貸主には非常にデメリットとリスクがあります。例えば、5年の定期借家契約で残り1年を残して中途解約された場合、次の借主はなかなか見つかりません。
正当事由がないのに中途解約した場合、残存期間の賃料を全額請求されます。
この他に居住用でも200㎡を超える物件の中途解約は認められていません。また、事業用の物件(店舗、事務所等)についても中途解約は認められていません。
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