手帳、替えましたか? 最近はスマホの普及でスケジュールをWEB管理をする方が増えてきているようですが、意外なことに手帳はかつてないほどよく売れているそうです。デジタルガジェットの普及に伴って、逆に手書きの効用が見直されてきているんだとか。僕もさっそく2015年度の手帳を準備しました。
今年は「能率手帳」。ごくごく普通の、黒い表紙の手帳です。中も昔ながらのレフト式。掌に収まるほどの小さな紙面に、どこか懐かしさを感じる緑色の日にちが書き込まれただけの、極めてシンプルな手帳です。ただ、このなんてことない普通の手帳を選んだのには訳があります。
それがこの本、『能率手帳の流儀』(野口晴巳・日本能率協会マネジメントセンター刊)です。
単なる自社商品の宣伝本と侮るなかれ。実はこう見えて、年に一度は読み返したくなるスルメ本なんです。
中身はよくある「手帳術」本とは違い、“成功”や“夢の実現”や“年収10倍”といった刺激的なフレーズとは無縁。むしろ野口氏は「普通の人に、普通でない手帳術は要らない」と喝破します。
では、「普通の手帳術」とはいったいどういうものなのか? 野口氏に言わせれば、その軸は大きく分けて3つ。
(1)手帳は「振り返る」ためのツール
手帳には“やるべきこと”ではなく、“やったこと”を記録しましょう。その日何を食べたのか、誰と会ったのか、どういう話を聞いたのか……そういうことを書き留めておく。すると、ふと手帳をめくりなおしたときに、「ああ、ラーメンばっかり食ってるなあ」「あの社長と会えて刺激を受けたな」「あの話は今度うちの子にも教えてやろう」……などと、自分を振り返ることができるのです。
(2)手帳は「考える」ためのツール
一度習慣がつくと、ヒマさえあれば手帳を開くようになります。そこで、手帳に「考えておきたいテーマ」を書き記しておくようにしましょう。まとまらない考えもひとまず手帳に書きとめておけば、次開くときにはその続きから考えることができます。言ってみれば、テレビゲームのセーブデータのようなものですね。
(3)手帳は「覚えておく」ためのツール
約束やアポイントを書いておくのももちろんですが、できれば「やりたいこと」(行ってみたい美術館、食べたい料理、読みたい本など)を書くのがいいでしょう。するとふとした機会に、それをやるチャンスを逃さずにすみます。例えば出張に行った先で「あ、 そういえばこの辺に有名な海鮮丼があるんだったな。せっかくだし行ってみよう」となるわけです。趣味的な部分を充実させていくことで、人生はもっと豊かなものへと変わっていきます。
野口氏がこの本の中で説いているのは、「人生をもっと充実させるために気楽に手帳を使おうよ」という提案です。
野口氏は「使うのは別に能率手帳じゃなくてもいいよ」と書いているのに、読後はなぜか能率手帳が買いたくなるから不思議ですね。
ちなみに僕は2冊買いました。