「おっさん」で読み解く世界の文豪(水田)

「最近どういう本読んでんの?」と言われたとき、僕はだいたい困り果てます。「あ、いまは『戦争と平和』っす」「最近はフランス文学ばっかり読んでますね」とか答えるヤツ、なんかムカつくじゃないですか。

……でも、面白いんですよ世界文学。

皆様、「世界文学なんて読みにくそう、難しそう、つまらなそう」なんて思ってはいませんか? これは勘違いです!

 

①「読みにくそう」→翻訳しているのは現代日本人です。だからすっきりと読みやすい。実は漢字も少ないです。

「難しそう」→文学が難しくなったのは20世紀から。19世紀は物語至上主義ですから、今も娯楽として楽しめます。

「つまらなそう」→つまらない小説は100年以上も読まれません。当時は庶民向けの娯楽小説ですしね。

さあ、誤解も解けた(?)ところで、オススメの作家をご紹介しましょう。

 

 

バルザック=エネルギッシュなおっさん

「ゴリオ爺さん」「谷間の百合」「絶対の探求」など

全力で書き、全力で遊ぶ、を地で行く作家。執筆期間中は一日15時間書きまくり、書き終わったら社交界に繰り出して朝から晩まで金をばらまきまくったそうな。

ちなみに書く物語はだいたい面白いのですが、どうでもいい話を書きすぎるせいでストーリーが全然進まないことでも有名。「ゴリオ爺さん」は冒頭30ページに渡って脇役について語り続けています。飽きます。飛ばしましょう。後は全部面白いから。

 

 

ディケンズ=皮肉屋なおっさん

「デイヴィッド・コパフィールド」「大いなる遺産」「オリバー・ツイスト」など

イギリスではキング・オブ・大衆作家。波瀾万丈のメロドラマ的ストーリーと魅力溢れるマンガ的キャラクター、その皮肉たっぷりの語り口調から、読みやすさは文豪の中でも随一。「世界文学でも読んでみっかな」と思ったなら、まず彼から始めましょう。ディケンズを読んでいるうちに、「このマンガっぽさどうにかなんないの」と思ってきたら、トルストイに進むことをオススメします。

 

 

ドストエフスキー=躁鬱気味のおっさん

「罪と罰」「カラマーゾフの兄弟」など

出ました、世界ナンバーワン文豪(暫定)。この人の小説を読むと、極端すぎるキャラクターと極端すぎる思想と極端すぎる台詞回しにものすごーく消耗します。ですがもともとは彼も新聞小説で鳴らしたベストセラー作家。ストーリーの面白さは折り紙つきです。面白い面白いと読み進めているうちに、なんか頭良くなったような気になる、というのはこの人のいいところです。

でも、やっぱり消耗します。体力があるときに挑戦しましょう。

 

 

トルストイ=上から目線のおっさん

「戦争と平和」「アンナ・カレーニナ」など

いわく、完璧な小説。いわく、世界で最も偉大な文豪。この人に冠された称号はあまりに壮大すぎて、ちょっと尻込みさせられます。でもなんてことはありません。「アンナ・カレーニナ」はただの昼ドラだし、「戦争と平和」は司馬遼太郎風の歴史小説。

じゃあ何が凄いのか……というと、人間描写。これだけであの3冊なり4冊なりの分厚ーい文庫本をするする読めちゃいます。人間の心理を手に取るように完璧に書いてみせるので、読者はトルストイと一緒にまるで神様になったような気分を味わえます。確かにこの人すごいです。ちなみにマイフェイバリット文豪でもあります。

 

皆さん、「名前は知ってても読んだことない/あらすじしか知らない」という作家が多いかもしれません。この機会に、どれか紐解いてみてはいかがですか?
はじめはディケンズがオススメですよ!

 

 

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