国交省は来年度から長年不動産業界の悪しき習慣として放置されてきた【囲い込み】行為を厳罰化する方針を発表した。
囲い込みとは、不動産の情報を1社が独占し、他社のお客様を排除する背信行為である。
過去に大手を中心に実名で新聞に会社名が報道されたが、その後も改善されていない。むしろ手口が巧妙化している。
なぜそのような事が起こるのか。簡単である。宅建業法が両手取引を認めているからである。
過去に民主党が政権を取ったときに、両手取引を禁止する法案があがったが、業界の猛反対でお蔵入りになった。既得権益を死守したいわけだ。
そもそも両手取引を認めているのは日本位である。だが、そのような事を外国企業や外国人がいつまでも認めるかは疑問だ。
では、なぜ、囲い込みは行われるのか。具体例を説明しよう。
A社が専任で売主から売却の依頼を受け、専任媒介契約を締結した。A社は自分で買主を見つければ、手数料が売主、買主の双方から受領できる。できればそうしたい。
そういう考えが働き、自分の会社(特に担当者)以外のお客様を排除する。
他の会社が自分の会社のお客様をご案内したくてA社に問い合わせをしても案内をさせない。
売主の都合が合わないとか、鍵がまだないとか、担当者が不在だとかいろいろな理由をつけて案内をさせない。図面を要求するとまだでできていないという。
ところがその会社のホームぺージを見るときれいな図面が載っている。
やっとレインズに図面が登録されたかと思うと、ホームページに載っていた図面とは別物。非常に見づらい。ほんとに売る気あるの?
このような事はどのような弊害を生むのか。
せっかく買いたいというお客様がいるのに、自分のお客様でないから案内をさせない。買主に対する背信行為であり結局売主の利益も損なう売主に対する背信行為にもなる。
挙句の果て、長期間売れないからと言って業者に安く売る。
そしてその業者から再販の約束をとり、また手数料をとる。
両手取引という慣習がこのような弊害を生む。自分たちの利益が最優先なのだ。
国交省はどのような罰則をするのかまだ不鮮明だが、悪質の場合は、罰金の他、免許の取り消しも視野にあるらしい。
これで本当に【囲い込み】が無くなるのかは、業界のモラル次第である。
ただ、根本的な解決方法は、業法の改正による両手取引の禁止である。
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